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実子箒(みごぼうき)を作りました [Custom Made]

友人の会社が2面のクレーコートを所有していて、よく遊びに行ったりしていますが、ラインテープもボロボロでかなり荒れた状態でも、会社から掘り返しの予算が付かないと云う事情があり、どうしたら良いかと相談を受けました。じゃあ「石灰を溶いて、ラインを描きますか?」と言う話の流れになったのですが、誰もやったことがない!。「じゃあ、ボクがお手本を示してあげましょう」となり、早速、9ミリ太の新幹線組ロープを30メートル購入。石灰は野球のグランド用にあるとのことで、実際にラインを描く「実子箒」探しを始めました。これが全くない。では自分で作るしかないと、近所のたたみ屋さんに相談。半畳のたたみに使った残りのイグサをいただいてきました。

【ご丁寧に、余った「畳縁」で縛ってくれました】
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お店に持ち帰って作業開始。

【織物である畳表から緯糸のイグサをばらします】
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上等な畳表をいただいたようで、経糸(たていと)は綿糸と麻糸を交互にした織り方になっていて、そこから緯糸(よこいと)である、イグサを引き出しました。緯糸がしっかりしているため、このくらいの長さになったらその都度カットしてまたむきます。

【中略・半分にカットして束ねます】
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イグサは緯糸なので半間(90センチ)プラス側面部分で約130センチくらいの長さがあります。ほどいて直径8センチくらいの束になったところで真ん中からカット。カット面のおしりを束ねて、ホウキの原形を作りました。そしてガムテープで仮留め。

【たこ糸で等間隔に縛っていきます】
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本来ならば持ち手部分を編むのですが、いかんせん素人仕事。腰に負担がかからないように長めの仕上がりを考えました。そしてラインが描きやすいように、先端部分を斜めにカット。最先端は輪ゴムでライン幅の調整用に工夫してみました。

【そして本体をドブ漬けします】
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石灰水を吸い込みやすくするために、ドブ漬けをします。これをするとイグサの堅さが取れ、ライン描きのストロークがスムーズになるからです。

【最後はグリップを巻きます】
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これはシャレでやっちゃいました。ライン描き用、実子箒の完成です。

テニスを始めたのが10歳の時。その頃はハードコートなんてほとんどなくて、クレーコートばかり(オムニなんて全くありません)。ラインテープも少なく、テニスの前にはローラー掛けから始まり、ブラシ掛け、ライン描きでした(もちろんボールは白で、終わったあとに洗剤で洗ったりしていました)。35年前の大学庭球部2年生の時まで、ずっとライン描きの毎日でしたが、お供は常に実子箒です。
今回の依頼で探してみましたが、建材屋さんなどを廻ってみても「ミゴボウキ?なにそれ?」的なご対応ばかり。商店街の何でも屋のおじいちゃんに「そりゃもう流通なんかしてねえから探すだけ無駄だ」と言われ、35年の時の長さを肌で感じました。

明日はこれを持参して「35年振りのライン描き」に挑戦です。
レポートをお楽しみに!松本畳店の大将、ありがとうございました。

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